さんま物語 10

2017年10月25日

さんまの終焉⁉ あれからサンマは どこへ行ったやら…
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サンマ漁はどうなってしまったのか。
ふと北原ミレイの「石狩挽歌」を思い出した。

   ♪…「海猫が鳴くから ニシンが来ると~
        …オンボロボロロ…
           ……あれからニシンは どこへ行ったやら~」

ほんとに サンマ漁は変わった。
秋刀魚収獲祭を始めた当初は、大漁になると魚価が低落した。大漁貧乏になる漁船業界の経営の安定を望み、それに依っての我々水産業界の『安定した稼働の確立とを願った相互関係』の強固な絆はほんとうに強かった。
それが徐々に崩れて行き、自分達が良ければ良いとの思惑が次第に強くなっているように私は感じる。

 

生産数量を拡大すれば より以上の結果が出る冷凍業者は、次第に生産設備を増加する。
反面、常に大漁を心がけていた漁船業界の方は 台風などで漁獲が何日も出来ずにいて 冷凍業界の必要数量を満たさなければ、魚価が確実にアップする事を体感してくる。

次第に漁船業界は、さんまが多く獲れ 魚価が下がり始めると、さんま漁業の組合「全さんま」が指令を出して 一時休漁の処置に出る。
冷凍業者の仕事が無くなりあせってくるのを待つ。
お得意先と数量契約しいる業者また仕事が少ない業者は、仕方なく高値で原漁を買い求める。

 

漁船の方は、あくせくせずに漁獲をしていた方が 水揚げ金額が増える事が分かってくる。その様な考え方が定着し、それに加えて今年は私が経験した事のない大不漁になった。

さんまが取れない8月初旬に、価格を決めなければならない宅配の仕事。毎年お得意先と年間の冷凍さんま価格と数量を決めている冷凍業者。
水産業界は、(すべてとは思わないが)自分の利しか考えないさんま漁業者が増え、そして資源の将来を考えないその場限りの漁獲に奔走する世界の漁業界、大変な時代を迎えていると思う。

 

「消費者はサンマが高ければ別な魚を買う。」「高くても買うのは初物の1回だけ。」
「もうさんまに頼るのはよそう。来たら来たでやれば良い。」「設備はそのままで別な仕事を探そう。」
サンマに頼ってきたそれぞれの地区の冷凍業者の中には、サンマ漁で一喜一憂しない態勢作りを模索し始めている。

不漁は温暖化の影響か、はたまた各国の公海内の乱獲なのか。
高値になったらサンマの仕事はしない冷凍業者のサンマ離れが近づいている。

 

文責:ワイケイ水産(株) 会長 木村喜一